先祖を想う夜に似合う、深みと輝きのお位牌

お盆まであと数日。祈り習慣の拠点・四国 徳島では、この時期になると地域一体が阿波踊りの熱気に包まれます。本番に向けて、公園や施設では踊り子たちが練習に励み、軽快なリズムが夜風に乗って広がる夜。地域には、自然と活気が満ちています。
阿波踊りは、もともとお盆に行われていた盆踊りが発展したもので、先祖の霊を供養する意味を持つ夏の風物詩でもあります。
そんな、先祖を想うこの季節に、夜空がよく似合うお位牌「星輪 しょうりん」をご紹介します。光の角度によって星空のようなきらめきを見せる、深みのある黒のたたずまい。上質さの中にそっと輝きを宿したお位牌が、静かに寄り添います。
- お位牌:星輪
- 具足:アモーレ(ホワイトアッシュ)
- おリン:チェリン(銀色)
本金仕上げが引き立てる、静かな存在感
「星輪」は、落ち着いた黒を基調とした本体に、きらめく金がさりげなく施された、上質で凛とした佇まいのお位牌です。形状はすっきりとした直線とほどよい丸みによって構成されており、余計な装飾を抑えた、洗練された美しさが漂います。漆黒の本体に浮かび上がる金のあしらいが、まるで静かな夜空に輝く星のように、しっとりとした気品を感じさせます。
全面に本金粉や本金箔を惜しみなく使用。中でも、溝部分に細やかに金粉を入れ込む技法は、長年の経験を積んだ職人にしか成し得ない繊細な仕事です。
華美に走ることなく、あくまで上品に。故人への敬意と祈りを静かに映し出すような、控えめで美しい仕上がりが、「星輪」の魅力をより一層引き立てています。
静かな気品をまとう、繊細な梨地仕上げ
「星輪」は、“梨地(なしじ)”と呼ばれる漆芸技法によって、独特の深みと繊細な輝きをまとっています。落ち着いた黒漆の中に、満天の星を閉じ込めたような微細なきらめきが浮かび上がる様子は、まさに静謐な美の極みといえるでしょう。
梨地加工は、まず黒漆を丁寧に塗り重ねたのち、極細の蒔絵粉を散らすことで、煌めきを加えます。その後、透明な漆を何層にもわたって塗り重ねることで、粉を包み込みながら、奥行きと光沢を持つ表面が仕上がります。
「漆塗料 → 蒔絵粉 → 透漆塗料」の多層構造が生み出すこの仕上げは、光の角度や見る位置によって、わずかに異なる輝きを見せ、時に深く、時にやわらかく、表情を変えていきます。
一つひとつの工程に高い技術が必要とされ、完成までには多くの時間と手間がかかります。その丁寧な積み重ねが、他にはない静けさと品格をたたえた「星輪」ならではの存在感につながっています。
色違いのプラチナには、やわらかな絵柄の提灯を添えて
「星輪」には、もう一つの色違いであるプラチナ仕上げもご用意しています。銀白色の静かな光をまとったその佇まいは、また異なる魅力を放ちます。
撮影では、やさしい絵柄が印象的な盆提灯を添えてご紹介しました。ふわりと浮かぶような柔らかな光が、プラチナの清らかさと響き合い、空間に落ち着きと調和を生んでいます。
なお、このプラチナ仕上げには、安定して制作できる職人が限られており、希少性の高い逸品です。本金タイプと同様、台座の裏面にはプラチナ箔が貼られており、細部まで丁寧に仕上げられた、匠の技が息づく一本となっています。
現代の空間に、凛とした気配をもたらす手元供養
今回は明るい空間で、窓際のテーブルに「星輪」を配置して撮影しましたが、背景が白壁や土壁など、古民家の和の趣を感じる空間や、閉じた室内にもよく調和する佇まいです。
日々の暮らしの中で、手を合わせるという小さな習慣を通じて、故人への思いを静かに育む。そんな祈りの時間を、特別なものではなく、日常の中にそっと取り入れていく。「星輪」は、そうした“静かな祈り”のかたちを支え、暮らしの中に厳かな空間を生み出す存在です。
ご供養のかたちを考える際の、ひとつの参考としてご覧いただけましたら幸いです。