コーディネート#8 格式を伝える、呂門型位牌「一重呂門」

お位牌は、ご先祖様や大切な方への想いを託し、日々心を通わせるための大切な存在です。選ぶ際には、その姿にどこか故人の面影や、ご家族の気持ちが重なるようなものを手に取りたい。
そんな想いに静かに寄り添ってくれるのが、今回ご紹介する「一重呂門」のお位牌です。
歴史あるかたちを受け継ぎながらも、彫刻を抑えた直線的なデザインが凛とした印象を与え、漆黒の艶やかな塗りが静けさと気品をそっと添えてくれます。
今回は、緑が涼やかな開放的な空間に、しきみや提灯を飾り、お盆の季節に寄り添う祈りのしつらえとして撮影しました。現代の暮らしにやさしくなじむ、新しい祈りのかたちをご紹介します。
- お位牌:一重呂門(黒塗り)
- お仏壇(ステージ):フォンテーヌ(ホワイト)
- 具足:アモーレ(ホワイトアッシュ)
- おリン:チェリン(銀色)
直線が美しい、現代に映える呂門型
「呂門」は、古くから伝わる“楼門型”と呼ばれるお位牌の一種。その名の通り、台座の脚の形状が楼門に似ていることから、この名がつけられたとされています。
彫刻を抑えたすっきりとしたフォルムが特徴で、現代の住空間にも自然と馴染む洗練された印象をもっています。過度な装飾を省いた造形に、深みのある黒と金のアクセントが映え、落ち着きの中にも格調が感じられる仕上がりです。
手仕事が映す、漆と金の上質な佇まい
お位牌の塗装には、日本製のカシュー漆を使用しています。艶やかで深い黒色と、やわらかく光を受ける金色の装飾が絶妙に調和し、控えめながらも存在感を放っています。
長年の経験を持つ職人が、一つひとつ丁寧に手塗りで仕上げており、滑らかな塗り肌や細部まで整った美しさが特徴です。手に取った際のしっかりとした重みや質感からは、職人の手仕事ならではの温もりと確かな技術が伝わってきます。
ナチュラルモダンな仏壇にも、やさしくなじむ
「一重呂門」は、古典的な美意識を受け継ぐ形式でありながら、現代の手元供養やコンパクトな仏壇にもよく似合います。今回はやさしい木目調が印象的なミニ仏壇「フォンテーヌ」に合わせてみました。
ナチュラルな色合いと漆黒のコントラストが美しく際立ち、空間に静けさと格調をもたらします。「フォンテーヌ」は、花を飾れる正面パネルやスライド式の棚を備えた自由度の高いステージ。細部まで丁寧に仕上げられた設計は、「一重呂門」との相性もよく、上品な祈りの空間を演出します。
穏やかな祈りの時間に寄り添うかたち
代々受け継がれてきたご先祖様への敬意と感謝を、静かにたたえるために。「一重呂門」は、そうした想いにふさわしく、気品と温もりをあわせ持つお位牌です。
お盆の季節には、しきみや提灯をそっと添えて、日々の祈りにやさしい彩りを加えてみてはいかがでしょうか。暮らしの中に自然と溶け込み、心を整えるひとときへと導いてくれる存在として。
そして、時を超えて大切な記憶をつなぐ象徴として。
現代のライフスタイルにやさしく寄り添う、新しい供養のかたちを、ぜひ感じてみてください。